FC2ブログ

日本酒感想日誌

【1282】春心 裕恒 HIROHISA 純米吟醸 白 30BY

  2   0


春心の別ラインで、蔵元杜氏の西出裕恒さんの名前をそのまま冠した、裕恒(ひろひさ)です。
ありきたりな特約店向け、首都圏向けに華やかなお酒を~みたいなブランドではありません。
今年は磨き50の純米吟醸が紅白で2種あるのですがこれが4合3000円で、さらにその上に大吟醸と純米大吟醸が用意してあって、自分の名前を冠した矜持をもって、高額で勝負するという、まあたとえるなら開運の波瀬正吉とかそっちのジャンルなのでコスパ厨は帰ってください。

西出裕恒さんは、当代限りの個のお酒、春心は五百万石で造りますがこのシリーズは自分の本当に表現したい味わい、それに合わせて原料も選びますとのことでした。
今年は白は八反錦、紅は雄町で両方試飲してきたんですが紅のほうがややしっかり目で春心のほうに近い印象だったので、あえてもう少し違う印象だった白を選んできました。

気合は裏書からも伝わってきますね。
酵母その他の細かい仕様は不明です。






良いですね。
春心のクラシックな要素を抜いて、モダンな面を抽出したようなお酒になっています。

香るお酒ではなく、せいぜい白粉のよう。
一方で甘みはしっかりと出してきていて、和三盆ってのを僕はそんなに食べたことが無いんだけど、イメージとしては純度と質の高いキビ砂糖のようだ……と調べたらそれが和三盆じゃんって感じでした(笑)

とはいえいい具合に春心のらしさも出てるんですよね。
甘みはのっぺりとしたものでなくコク感やニュアンス(表情)があり、春心のニュアンスを弱めて甘みの中に溶かし込んだよう。
さらにやはり酸味があるというのが特徴になるんでしょうが、やや高く軽やかでスイっと、クリアーなんだけどやっぱりいろんな酸が出てるからのこの深みとかニュアンスなんでしょうね。

とにかく甘みがぐぐーっと響きつつ、少しこれをクセっぽいと取る人もいるかもしれないんだけど酸味が少し違った表情をつけて。
これなんだろうな、やっぱわかりやすく言えば少し洋酒っぽく、でも嫌らしくないんだよね~しっとり感や深み。
よく乳酸、リンゴ酸、コハク酸とか日本酒の酸味って色々あるんですよーってなるんですが、そのバランスが他の要素も含めていいとしか。

ぐぐーっと甘みも響くんだけど、もちろん酸の爽やかがあり、フィニッシュは適度にシャキッと切れてくれます。
余韻も適度に残しながら、残り過ぎず上品ですし、スッとミネラルっぽいというか気持ちの良いアルコール分の揮発感も気持ちよいし美しい。


モダンだけどメローで、らしい表情もある。
これ美味しいのはもちろんなんですが、いささか僕の嗜好が偏ってきた中にあっても飲める甘口で、ちょっと好みが違う方にもおすすめしやすいです、甘くて香るのが好きな人とかほざいてるヤツにも大満足なはずですよ。
その上で感じてほしいのはカプ系の香りの嫌らしさとか、安っぽい苦みとか全くないでしょ?
それでいてこの純度の高い甘みに、なんていうのかな和系雰囲気とか煌びやかさみたいなものを感じるのは、酸味と深みの表情のニュアンス。
そこからスッと美しいキレ。

まあものが違うよね。
たぶん昨今の流行酒に興じてる人たちに、バカ舌メーターとして機能するお酒として、これ以上ないと思う。
バカ舌というか審美眼の問題かなあ。
どこまで感じ取れるかというところでもある、一見して甘くておいしーで終わる人もいるかもしれない。

滑らか、少しのパウダリーさや、涼やかさ。
高級和食屋で食すような甘酢のイメージはやはりあって、しっとり和三盆的な洗練されたコクのある甘みが伸びて、酸味がそれに従った相応の煌びやかさ。
加賀百万石の工芸品のイメージで、クラシック感とか和っぽさもあるんだけど、洗練されている。
さっぱり飲めるんだけど、洋酒のような力強さやニュアンスもあって、ウイスキーでもブランデーでもグラッパでも何でもいいんだけどそっち系の雰囲気もあるよねえ。

すばらしい。
あえて言えば、味わいはもう文句ないんだけど、ぞくっと来るような雰囲気がもう一回りほしい。
そこまで来たら本当に手の付けられない造り手になると思うし、もしかしたらと考えるとさらに上の商品で山田錦なんか使ったものへの期待が高まります。
唯一無二感ありますねー。

さて2日目。
まあ特に変わらず良い。
昨日の後半からそうなんだけど、そこまで甘いっていうよりも、春心っぽさがちゃんと出てきている。
春心のほうだと、もう少し山陰系に近くなってくるというか、お燗でみたいな方向性も強まってくるんだけど。
なんて表現するかは難しいとこだけど、やっぱり甘みに酸味、いい意味での少しクセっぽさ。
なんだろうねー浮いてこないんだよね酸味とかクセが。
滑らかさ、緩やかな重層感のあるボディで、まあ少し洋酒っぽいような深みは樽を思わせるようなウッディさなのか、それとも少しカラメルっぽいような甘さのニュアンスなのか。
それでいてもたつかずクリアーで、ピッと背筋の通ったキレがいわゆるミネラリーに緩やかな重なりとも違った立体感を出してハイブリッド、軽い収斂味のようにも感じてまたそれが良い。

いささかほめ過ぎな気もしないでもないですが、楽しい味わいで、いろんな角度から見てスキがないけどいろんな表情も見せる。
素晴らしいお酒だと思います。










2 Comments

みりん says...""
日誌係さま

新酒鑑評会金賞を目指したどうでもいい忖度の酒よりもこういう造り手の想いを実現しようとするお酒が増えて欲しいですね。その想いがきちんと実現されて飲み手にも伝わった時に、しみじみと感動できるお酒になるように思います。
消費者側もそうした想いが分かるように心と舌を清く正しく保つ必要があると思いますが(^^ゞ

そういえば、阿波和三盆など恐らくデパート等で普通に入手できるので一度是非☆
2019.11.04 15:36 | URL | #- [edit]
日誌係 says..."Re: みりんさん"

金賞もあれはあれで一つのジャンルのコンテストとしては悪くないと思いますが、それよりもやっぱり地酒は造り手の美学みたいなものを感じたいですね。
その点このお酒はすばらしく、今後も期待できますので、かなりおすすめですよ!


村祐からのながれで和三盆のようっていうお酒は増えていますよね。
和三盆って和菓子の原料として食べたことはあるはずなんですが、そのまま舐めたことがあるわけでもなく、じゃあ他のとどう違うんだとか何が和三盆っぽいんだとか言われると困るんです(笑)
実際に和三盆含め砂糖をなめ比べしたことがある人ってそうはいなくて、何となく村祐っぽいのを和三盆なんて言ってみたりして。
自分は別にプロとしてやるつもりはないんですが、そのあたり努力不足でしょう。
でもそう言って売っている側もどの程度なのかというのは疑問が残りますよね。

日本酒界隈は割といい加減で、フルーティとかって言われるお酒も言うほどフルーティか、自分もそれ言っててちゃんと食べたことあるのか?ってとこはありますね。
昔、NHKのプロフェッショナルかなにかでたしかソムリエの佐藤陽一氏だったと思いますが、フランス留学中に市場に行って野菜やらなんやら片っ端から臭いをかいで記憶していったという話を観た記憶がありますが、そういうレヴェルの人が本気で日本酒の批評をやるような時代がいつか来ればいいなあと思っています。









2019.11.05 00:08 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:https://osakasj.blog.fc2.com/tb.php/3115-8b781ee1