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日本酒感想日誌

【1303】杉錦 山廃純米 天保十三年 29BY

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まだ十四代も少し残っていますが、テイストの全く違うものを重ねていきましょう。


静岡の杉錦です。
静岡では異色の山廃・生もと蔵で、速醸の大吟醸を造らせても全然良いんですが、もちろん熟成もいい。
僕も大変評価の高い蔵なのですが、この商品はフランスでやってる日本酒コンクールである蔵マスターの純米部門で2018年はTOP5,、2019年もプラチナ賞と評価の高いお酒になっております。

ただ別に高級というわけではなく1升税込みで2420円とかそんな商品、しかもわざわざ寝かせて出しているという。
お米は公式を見るとひとめぼれ、あいちのかおりだそうで磨きは70/78という低精白、+9の酸度2.2、酵母は7号となっております。
1回火入れというのはちょっと驚きました。





まずは冷たいところから。
ふんわりと控えめにカラメル系の甘い香りが漂います。
含むとかなり酸味が強く、まだ若いなというような印象。
それでもジワリと旨味や甘さが出てくるのと、スカッと酸味の抜けの良さもあるんですが柔らかい。
辛いって程ではないですが、ややキレ感を演出するような雰囲気はあるフィニッシュ。

良いですね~
まだまだ先も何年もあるお酒。
かなりキッパリとした酸味もあるんですが、軽い熟成感が甘やかでエレガントですらある。
いくらでも飲める系なんですが薄いってこともないですし、逆に汚くもなく、締めるところは締める。
すこーしクリーミィに粉っぽいというのか、軽い収斂性というか、まあミネラリーなキレということか、とにかくフィニッシュ時の表情なんかも陶酔というといいすぎですが、フォーカスしていけるお酒。
京都のよらむさんのとこで玉栄かなんかのたしか3年熟成をグレンケアンで飲んだのが初めてだったと思いますが、いまでも思い出される。
あー今年はいけなかったなあ。


当然ですが、常温~お燗が本領のお酒だと思われますので、以後ゆっくりと。
続きます。


常温。
クラシック系でよくある、個人的には嫌いではないぺたりとした糖っぽさ。
仄かに香るカラメルやカカオ、バニラがエレガントに甘く、少し妖艶。
この温度になると当然酸味はあれど、程よくビターなニュアンスや柔らかな収斂性とクロスオーバーして滋味深い。
酸味の立ち方が良いカカオのチョコレート、シングルオリジン的なカカオ界でいう華やかさっぽい感じがします(日本酒のカプな華やかさとは別物)。
またあくまでもこざっぱり、さらに舌になじむ優しい収斂性というか穏やかな粒立ちの立体感、旨味を長く感じさせつつほっと気持ちが和む程度のアタック。

間違いなく旨い。
方向性でいえば、ニュアンスとか収斂性とかハイグレードの赤ワインっぽい?
かといって奇をてらったワインっぽいというので売っている日本酒ではなくて、本質的なところで近いというのか。
良いお酒で、これがフランス人のソムリエに評価されているというのは嬉しいですし、やっぱちゃんとわかるんだなあという感じ。
ホントにそこからバイアスで寄せてるんじゃなくて、飲み進めていってそこにつながる。

これアンダー2500で、別に台所下に夏場の常温置いておいていいくらいの強さあるだろうし、いろんな温度帯やペアリングで楽しめる。
買わない理由はないでしょう。
全くジャンルは違いますが、十四代の中取り大吟醸(5800円+税)と比べて、引けを取らない飲み物です。


割とガチでいうけど、静岡といえば開運でも磯自慢でも初亀でもなく、杉錦ですよ!!
速醸の大吟も近年に県知事賞取ってますし、実際美味しかったですからね。
あーでも臥龍梅 は久々に飲んでみたいな。
正雪は色々あったけど、どうなんだ?
英君、喜久酔 、志太泉、白隠正宗 あたりはもっと飲んでみないととは思っているし、そのほかにも飲んでいない静岡の酒(天虹 駿州中屋 、若竹、高砂、森本、金明など……)を挙げたらキリがない。
でもこれはホントに美味いです、日本酒界の良心。
お燗にするまでもなく、十四代を1.5合くらい飲みながら、こいつを1.5合くらい飲んでまだ飲めるな~とか言うくらいにはいいお酒だと思う。


2日目、お燗。
うむ。
甘み、ドライ感、酸味。
やっぱこのお酒15度だけど薄くないよな~良い弾力感と言うか。
いささかテンションが上がってほめ過ぎた気もしないでもないですが、とにかく安いしこの時期買っておいて損はないです。
あらゆる温度で、またお食事合わせて、楽しめる秀逸な晩酌酒です。

ぬるめぐらいのほうが楽しいかな。
重量感を感じるようなトロミに、カラメルやタニックが入って甘みも感じ酸味のキレヌケで、やっぱ少し洋酒っぽさ。
味わいがありながらスカッとしてんなあ。


3日目。
しかし綺麗な香り、熟成感ですよね~。
こういうクラシック系の純米で、ヒネとかムレみたいな香りではなくてやっぱカカオなんですよね。
甘さを感じるようで、酸味のニュアンスが少し入って華やかな立ち香。

常温で含んでそのまま。
サッパリしつつ、気持ちのいい甘さが漂う。
わりと繊細なニュアンスで抜け感やスッとしたキレ。
ビター感もあるけど、カカオ、チョコレートのビターを文句言う人いないでしょ?
そりゃカプエチ馬鹿の気持ちで入ったらだめだけど、そういう気持ちで入ったらほんとに気持ちいい。
ざらついた、ノイズ的な苦みとは全く異なる。

このお酒、この味わいこの価格だけど、これで値上げしたってのがもうバカだよね(褒めてる)。
新酒の時期ならではの楽しみは否定しないし俺も好きだけど、ちゃんとしたお酒の凄みや違いが出るのは秋からだし、本当にいいお酒なら2年3年と続いていく話。
だから寝かせて手間のかかるお酒はその分お金とってもいいのになあと思う。
フレッシュな新酒は新酒で金かかってんだろうけど、こういうお金では解決できない時間が必要なお酒を飲むと、新酒って安易な金稼ぎだよね、とも思ってしまう。























2 Comments

お茶 says...""
杉錦では天保十三年が一番らしくて好きですね。
ある意味このお酒がフラッグシップモデルなのではないでしょうか。わざわざ創業の年をつけてるくらいですし。
他の静岡酒と同様硬度が高くない水で仕込まれているはずなのに、数年常温で放置しても全然びくともしない酒になるのはなぜなのかと思っております。

一回火入れなのは、杉錦だけでなく白隠正宗もそうだと思いました。
静岡の酒の中でも、ちょっと異質で、フレッシュさを売りにしていない蔵が一回火入れなのが面白いですよね。
2019.12.12 04:26 | URL | #8fjeFLhA [edit]
日誌係 says..."Re: お茶さん"

お茶さんから聞いていましたが、これは常備酒としては最強クラスですね。
かなり気に入りました。

すでに2年近い熟成ですがまだ若さもあり、常温で熟成させてどうなっていくのも気になるところです。
こういう熟成どんとこいというお酒なのに1回火入れは驚きましたし、また全然問題ないのが流石です。
白隠もそろそろやりたいですね~。


2019.12.13 00:07 | URL | #- [edit]

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